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【シティライフインタビュー】 川口 淳一郎さん

2012年07月31日


宇宙航空研究開発機構(JAXA)教授
川口 淳一郎さん
【シティライフインタビュー】 川口 淳一郎さん


今月1 8日から万博記念公園で始まる特別展「大阪万博とはやぶさ物語」― 。
4 2 年前、月の石で話題になった万博の展示と
はやぶさの7 年間6 0 億キロの旅を振り返り、
太陽系や地球の起源に迫ろうという企画だ。
はやぶさプロジェクト責任者の川口さんは、
成功の理由を「堂々たる変人との出会い」と明かし、
「一点に秀でたスペシャリストたれ」と説く。
逆説的な言説に隠された、真理とはいったい?

はやぶさを成功に導いたのは、一点に秀でたスペシャリストだ

1970年、大阪万博と日本の宇宙開発の息吹き

―大阪万博開催の頃、どのような少年時代をお過ごしでしたか?

工作好きで、人がやらないことをやりたがる、ちょっと、あまのじゃくな中学生でしたね。大阪万博の前年の1969年、アポロ11号が月に着陸し、月面に人類初の一歩を踏み出した。その様子は中学校のテレビ中継で観ました。実際の万博には行っていませんが、アポロが持ち帰った月の石にはワクワクしたものです。科学部に所属していたんですが、固体ロケット推進薬を自作し、発射実験をしたり(笑)。実は1970年は、日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功した節目の年でもあります。しかし全長1メートルのロケットと、片や有人宇宙飛行や惑星探査を次々に成功させるNASAのプロジェクトでは差がありすぎて、自分が将来、日本の宇宙開発に携わるとは夢にも思いませんでした。


「できる理由」を追求して世界初の成功を引き寄せる

―では、川口さんを宇宙開発の仕事に向かわせたもの何ですか?

宇宙科学研究所(宇宙研/現・JAXA)との出会いですね。大学卒業後、大学院に通いながら宇宙研に入ったんですが〝ロケット開発の父〞糸川英夫博士の文化なのか、宇宙研には「これが日本社会?」と目を疑うような、超プラス思考の〝変人〞がそろっていました。例えば一般的な日本社会では、できない理由を探すのがうまい人を評価しますよね。前例がないとか、技術的に無理とか、パッと挙げられる人がエライと。ところが宇宙研のメンバーは「できる理由」しか口にしない。他人にどう見られようとお構いなしに激論を戦わす…。それまで普通に〝積み上げ型〞の教育を受けてきた私は、大きな衝撃を受けるとともに、ある意味、こんなに楽観的でいいんだ、できる理由を探せばいいんだと、考え方が一変しました。はやぶさが小惑星イトカワからサンプルを持ち帰るなどいくつもの「世界初」を成し遂げて以来「はやぶさ成功のカギは?」と多くの方に聞かれます。その答えになるかどうか分かりませんが、宇宙開発は結果がすべてだということ。日本社会は結果より過程を重視し、師匠に学ぶ社会ですが、宇宙開発のプロジェクトでは、どんなに努力や忍耐を重ねようと、山カンが当たってラクをしようと関係ない。ただ、ミッションを成功させるか否か、なのです。


子育てのヒントがいっぱい「大阪万博とはやぶさ物語

―今月26日にはご講演も。特別展に向けてひとことお願いいたします

最近お母さん方によく質問されるのは「子どもが宇宙飛行士を目指しているがどうすればいいか」。私はあえて「宇宙飛行士に育てるな」と答えています。なぜなら宇宙飛行士は非の打ち所がない、何でも完璧にできる〝ジェネラリスト〞だからです。「ピラミッドではなく高い塔を建てよ」とは私の宇宙開発の経験から生まれたモットー。ピラミッドを高くしようとすると広い土台から積み上げなければなりませんが、高い塔なら一点だけ高くすればいい。つまり誤解を恐れずに言えば、世界初は一点に秀でた〝スペシャリスト〞から生まれるのです。もし、担任の先生に、お宅のお子さんは協調性がないとか、好きなことしかしないと指摘されたら「スペシャリストの素質がある」と喜びましょう(笑)。はやぶさが持ち帰ったサンプルは、太陽系の起源が詰まったタイムカプセルみたいなもの。だからといって奇跡の物語にするのではなく、独創性と確かな技術力の結果として展示を見ていただけば、子育てのヒント、生きる知恵が随所に見つかるはずです。


□特別展 大阪万博とはやぶさ物語□
8月18日( 土)から万博記念公園自然文化園EXPO’70パビリオンで開催される同展。多くの人々に勇気を与えてくれた「はやぶさ」の功績をはじめ、いよいよ明らかになった《はやぶさ2》のミッション内容や大阪万博の宇宙開発展示を振り返る。
8月26日(日)には、同じ万博記念公園の国立民族学博物館で川口さんの講演会も行われる。
聴講希望の方は3ページの申込方法を参照。
http://hayabusa.citylife-new.com/


【Profile】
【シティライフインタビュー】 川口 淳一郎さん
●かわぐち・じゅんいちろう 1955年青森県生まれ。工学博士。
京都大学工学部機械工学科を卒業後、東京大学大学院工学系研究科航空学専攻に進学。83年同博士課程修了。旧文部省宇宙科学研究所助手に着任し、助教授を経て2000年教授に就任。ハレー彗星探査機「さきがけ」「すいせい」、工学実験衛星「ひてん」、火星探査機「のぞみ」などのミッションに携わり、小惑星探査機「はやぶさ」ではプロジェクトマネージャーを務める。『はやぶさ、そうまでして君は』『「はやぶさ」式子育て法』など著書多数。


〈取材を終えて〉------------------------------------------------------------------
「〝いい子〞から世界初は生まれない」「口答えができる生意気な子に育てよ」。川口先生の逆説的な子育て論には、偉業を成し遂げた人だけが語れる真理が見えます。『「はやぶさ」式子育て法』オススメです!

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Posted by 北摂・阪神の情報紙シティライフ at 18:45│Comments(0)シティライフインタビュー
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